Day3.letter

何年も前に恋人から貰った手紙を読んでいた。その人が手紙を書くような人には思えなかったので、まず手紙を渡されたことに驚いたのをよく覚えている。そして、その人の字が優しくて綺麗だったことも。手紙の内容は、ひどく乱暴で、自分勝手なものだったが、人が人のために書いた文字を久しぶりに見たので、美しく思った。

手紙、というものは随分書いていない。この文章たちが、誰かに向けての手紙のようなものになるのだろうか。日記でありながらも、確実に誰かに伝えるために、今、私は書いている。届いて欲しいけど届いて欲しくない、そんな複雑な感情を抱きながら。

そういえば、その人から手紙を貰った日は雨が降っていた。傘を忘れた私は、カバンに入れた手紙を濡らしてしまった。3枚あった手紙は、それぞれ違う色のインクで書かれ、1枚目には「感謝」、2枚目には「怒り・戸惑い」が綴られていた。重要な3枚目は、水に弱いインクだったらしく、文字が滲んで何も読み取ることができなかった。そこに、その人のどのような想いがあったのか、私は知ることが出来ないまま、その人は私の近くから消えていった。

結局、私はその人のことが好きだったのか分からない。いつの間にか傍にいて、いつの間にかいなくなったことに対して、何も感じることはなかった。ああ、ずっと私はこういう生き方をするんだ、と思った。