Day20.sinking

沈みゆく私は、あらゆることを考えている。

もう、随分深い所まで来た。来てしまった。今、どこにいて、どこに向かっているのか、私にも分からない。でも、私が、何を求めているのか、この長い逃避の中で分かった気がする。

私は、ずっと「愛されたい」と思っていたが、私は”愛されて”いた。私が”愛する”ことを恐れていたために、”愛されている”ということに気づかないようにしていた。短いような、長いようなこれまで、私は恵まれていた。今、私がこう生きているのは、何か理由があるんだと思う。深く、深く、私は考える。

波の中に居るのに、波の音は聞こえない。透明な海の中に居るのに、数センチ先は見えない。私はこれまで、自分の心と向き合い続けてきたが、音も聞こえてこないし、真っ暗で何も見えない。この海のようだった。海は、ただそこに在るだけで、私に干渉してこない。これまで海に対しての感情はなかった。小さい頃、溺れて怖い経験をしたくらいで、広くて、大きいもの、という印象しかなかった。船と共に海の中を進んでいくうちに、どうやら海を好きになっていた。

海は良い。海を好きになっても、海を愛しても、私が死ぬことはない。

食糧は、もう明日の分で尽きる。私の行動を決めなくてはならないのだが、目的がなく、沈み始めてしまったが故に、私は恐怖に泣くしかなかった。