Day11.time

時間の進み方にかなり敏感になったし、かなり鈍感になった。意識を集中している間は、ほとんど正確に、何分経過したかが分かる。反対に、気持ちがブレている間は、ゆっくりになったり、早くなったり、時間の進み方も歪んでいるように感じる。

パンデミックからは、もう何年が経っただろうか。指を折り数えいくと、途中で、今はこの右手の指が、進んでいるのか戻しているのか分からなくなり、数えることを諦めた。地球にとっては短い時間の経過だとしても、私にはとても長く感じた。そして、現在の、この船の中に居る事実に目を向けると、ここに来るまであっという間だったようにも感じる。もう以前のように、便利な地球には戻らないだろう。ほとんどの人間が居なくなってしまったからだ。寂しい人間だけが、取り残されている。

何人かの人間は、過ぎた時間を、失った時間を、また未来に進ませようと活動をしている。それを私は、冷ややかでもなく、温かくもない目で、ただ見ている。彼らも、彼女らも、まだ自分の人生において踏ん切りがついて、再生しようとしているわけではないことは分かる。そうでもしないと、自分自身を保っていられないから、涙や血を頬の裏側に流し続けながら、一歩ずつ歩もうとしている。

私はどうしたいのか、まだ生きていたいのか、もう死んでしまいたいのか、何一つ自分のことが分からず、だからこの船に乗ったんだと思う。そして、こうして文章を書くことで、自分の気持ちを整理して、自分と向き合っているのだと思う。陸で生活をしている人たちを見るのは辛い。私は逃げるようにして、海に潜った。でも、まだ分からない。何一つ私のことが分からない。

ぐうと、情けなく腹が鳴った。その音を聞いて、久しぶりに笑った。笑った。